春風吹く盛岡で、我が師匠セルジオ越後氏と旧交を温める。時空を超えたサッカーの至福を満喫する。

第4節  盛岡vs沼津 1-1 

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我が師匠、セルジオ越後氏と盛岡で再会

ホーム開幕戦第4節、私こと佐々木はスタジアム観戦で盛岡へ、そしてなんとあのセルジオ越後さんとスタジアムで合流することに! セルジオさんと言えば「辛口サッカー評論家」「日本サッカーを褒める事はない」など厳しいイメージをもつ方もいるかと思います。今となっては記者達もそれを要求しているところもありながら、辛口なセルジオ節は日本サッカーへの愛情表現との評価も聞こえるようになりました。岩手朝日テレビさんの試合中継解説者として盛岡へ出向かれたセルジオさんと、試合前の僅かな時間ではありましたが、ご一緒に過ごす時間を頂きました。また秋田球団代表、岩手朝日テレビ畠山社長さんらとも知己を得る機会となり、故郷で充実したひと時を過ごしました。 

セルジオ越後師匠・秋田グルージャ代表
岩手朝日テレビ 畠山社長

現代日本サッカーの礎(いしづえ)「セルジオ越後のさわやかサッカー教室」

 今年はJリーグ30周年ということもあり球団をもつ地域の放送局が地元の方々へチームの情報をより多く発信しようとする動きがあるようです。岩手でも「KICK OFF IWATE」という番組が岩手朝日テレビで4月から始まります。他の地域でも「KICK OFF 各地域」いった具合に「KICK OFF」を冠に地域名を付けた番組がそれぞれスタートするそうです。セルジオ越後さんと言えばもう一つ「さわやかサッカー教室」。何を隠そう私もセルジオ越後さんの教え子の一人でありまして、小学生の頃に2度参加しております。1978年から始まった「セルジオ越後のさわやかサッカー教室」は当時の小学生を中心に2002年まで続いたそうです。1074回延べ人数44万2392人の子供たちが、彼のボールさばきとずる賢さに驚きました。教室に参加した人ならわかると思いますが、とにかくボールさばきが巧みでずるい!教わった基本的なキックやドリブルしかできない当時の日本人小学生にとって、足の裏やかかとを使ったドリブルやキックをするふりをして逆に切り返し 舌を出して相手を小ばかにした顔をするなど、こんな大人もそんなサッカーもみたことがなかったでしょう。日本全国を回って行われたこの「さわやかサッカー教室」は現在の日本サッカー発展の大きな要因の一つだと思います。評判になったこの教室は時には100人以上が集まったこともあったと聞きます。ある日本サッカー関係者が「サッカーを教えるなら30人まででしょう」との発言に対してセルジオ越後さんは「教えるのではない、サッカーの楽しさを伝えるだけだ」と言ったそうです。

「さわやかサッカー教室」を語るセルジオ師匠 出典:セルジオ越後チャネル

 先日行われた野球のワールドカップWBCは日本中が大興奮しました。放送局のテレビ視聴率が最大62%となったそうですが、昨今のテレビ環境を考えると驚きの数字です。侍Japanは見事に優勝しましたが、その選手達が口々に発した「試合を楽しもう」という言葉が私にはとても印象的でした。一昔前であればプレッシャーに押しつぶされそうな悲壮感さえありましたが、現代はサッカー選手も然り他の日本人トップアスリートもまたプレーや試合、それが大舞台となれば尚更、楽しもういう意識が多くなったように思います。   

真のサッカーの楽しさとは何か

 「セルジオ越後のさわやかサッカー教室」に参加した約45万人の子供たちの中にはその後サッカープレイヤーとして大成した人も何人かいるでしょう。しかしながら、ほとんどの人がサッカー以外の仕事につき社会人として生きているに違いありません。その中でサッカーを通して人生を楽しむ事や常識というものにとらわれ過ぎず自分で考え行動することをブラジル生まれのセルジオ越後さんに教わった人も多いのではないでしょうか。「日本サッカーの発展」とは?その物差しは「代表がどれだけ強いか」だと考えるなら私は疑問を持ちます。サッカープレイヤーのプロもアマチュアもそしてそれを観る人や応援する人、更にそれらに関わる人全てが楽しめる、豊かになること、と私は考えます。そうなれば代表も自然に強くなると信じます。盛岡でのホーム開幕戦、時空を超えてサッカーの楽しさを満喫できました。

佐々木徹勝

第4節 盛岡vs沼津ダイジェスト 出典:Jリーグ公式ハイライト

(註)この記事は2023.3.26刊行「グルージャ・カモメ通信」を転載しました。

 

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