新しい日常、そして遠い夏の日の盛岡。サッカー少年、佐々木徹勝は「三菱ダイヤモンドサッカー」と共に育ったのだった。

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新しい日常が定着してきた

 コロナによる縛りもなくなり、世界的にも様々なイベントが再開してきました。海外リーグの7,8月はオフシーズンとなり、欧州のビッグクラブは調整も兼ね、興行収入も見込み、アジアを中心に恒例の巡業プレマッチも今期は大々的に再開したようです。日本にもジャンパンツアーと称してバイエルン、マンチェスターシティ、セルティック、インテル等のビッグクラブが来日、Jリーグチームとのマッチアップもありました。日常的にも有料放送ではありますが、ヨーロッパや南米のリーグ、カップ戦も観ようと思えば簡単に視聴出来る時代です。現在はビッククラブもスタープレイヤーも、もう遠い存在ではなくなりました。 

出典:Jリーグ公式チャネル

母校、岩手県立大船渡高校に立ち寄る

 私が高校生(1980年中頃)ぐらいの時もキリンカップ(現キリンチャレンジカップ)が始まり、欧州や南米のクラブチーム対日本代表の試合がありました。国の代表とはいえ、プロリーグのない国の選抜チームに対してクラブチームとの対戦は、プロ集団にとってシーズンオフなだけに明らかにオフモードで試合が行われていた感じです。それでも想像以上に日本代表が頑張っていたのか、相手が少しでもいらだったプレーをすると「相手を本気にさせました」と興奮気味でアナウンスしていたのを覚えています。 先日、久しぶりに実家の墓参りをするために大船渡へ帰郷しました。そしてふと思い立ち何年かぶりに母校大船渡高校へ足を延ばしてみました。校門から坂(通称大高坂)を上がり、校舎へ向かう途中に校庭があります。3年間夢中でボールを蹴っていたグラウンド、駐輪場、部室、階段、周りの山、36年前と変わってませんでした。

「三菱ダイヤモンドサッカー」は日本サッカーの羅針盤であったと思う

高校1年生の時、同じサッカー部へ入部してきた同級生から「ダイヤモンドサッカー」という番組があるらしいと聞きました。何でも海外のプロの試合が観られるというのです。1968年から88年までテレビ東京で放送していた「三菱ダイヤモンドサッカー」は民放2局しか映らない岩手県では当然のことながら観られません。その同級生は大船渡より宮城県に近い陸前高田のさらに山頂近くに住んでいたためテレビ東京が視聴出来る仙台放送のおこぼれが観れるとのことでした。早速お願いしてVHSにダビングしてもらいました。当時の欧州リーグ、ワールドカップ欧州予選などを観ました。特にブンデスリーガ、ベルダーブレーメンで奥寺選手が右サイドバックで溌剌とプレーしていたシーンは記憶に残っています。 

懐かしいオープニング曲とシーン 出典:motdサッカー観戦貧乏旅行さん@youtube

『サッカーを愛する皆さん、ご機嫌如何でしょうか」お馴染みの金子勝彦さんの挨拶から始まります。「ダイヤモンドサッカー」は当時日本でワールドカップを除く海外サッカーを視聴出来る唯一の番組だったのではないでしょうか。毎週土曜日30分の番組だったため1回の放送で前半か後半どちらか、しかも45分をロスタイム含め30分に端折って放送されていました。1試合観るのに一週間と一日かかる訳ですが、苦になった覚えはありません。 金子勝彦アナウンサーと解説は岡野俊一郎さんの名コンビですが、二人共事前に試合を観た上で、おそらくですが番組用に30分に編集する作業にも関わっていたのではと思います。そのためライブ中継の実況と解説というのではなく、二人で試合を振り返るような内容だったように記憶しています。現在のサッカー中継のように必要以上に盛り上げようとする事もなく、自分の感情を無理に伝えようとすることもなく、二人とも口調は淡々としていたのが印象的でした。

ほとばしるサッカー、そしてスポーツへの愛情

言葉の端々にプレーへの感動や選手、チームへのリスペクトが感じられ、この2人は本当にサッカーが好きなんだなぁ~と思ってしまいました。 そんな二人が「ダイヤモンドサッカー」という番組に関わり海外サッカーを日本人に伝える役割をする。これは、本望だったのではないでしょうか。そしてその幸せを日本のサッカーファンやこれからファンになるかもしれない人達と共有し分かち合いたいと思う気持ちがあの名セリフ「サッカーを愛する皆さん ご機嫌いかがでしょうか」になったのではと想像します。ビッククラブ同士のビックマッチもいいですが、J3の試合も中々味があります!皆さん、地元チームの試合をスタジアムへ行って観て下さい。悪くないなと思うはずです!

出典:テレビ東京グループ プレスリリース
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